守りたい確かな想い


守りたい確かな想い


「ティア、ホントに大丈夫か?」
「大丈夫よ。そんなに心配しないで」
「そう言われてもな・・・」

パッセージリングを起動させることによって、この華奢な少女の体には障気が溜まっていく。
茶とも灰とも似つかない色をした髪を携えた、細身の少女ティア。

いつもは冷静で、俺を叱ってきたりするのに・・・

ティアは、確実に具合が悪そうに見えた。
ザオ遺跡では倒れてしまう程だ。

なんでティアが・・・

ルークには、それしか頭になかった。
しかし、大地の降下を止めるわけにはいかない。
ともかく、つらかった。

正直なとこ、俺はティアを守りたいんだ
・・・・そう思う
あの時・・・
斬られそうになった俺をかばって怪我を負ったティア

もう、あんなのは2度とごめんだ
・・・・そう思った

ティアを守ってやれるほど、強くなりたい。
確かに、そう思ったんだ。

なのに・・・

俺達には、ティアを苦しめてしまう道しかないんだ
そう思うと、やるせないとかそんなんじゃなくて・・・

悔しくなった。


「俺・・・降下を止めよう・・・なんて言えない」
「・・・止めるなんて言ってたら、私はあなたを軽蔑したわ」
「ティア」

強がりやがって

「強いフリすんなよ」
「フリじゃないわ」

穏やかな口調で否定するティアに、ルークのつらさは増していく。

「もっと、つらいとか悲しいとか、本音を言ってくれれば・・・俺・・・」
「ルーク・・・」

ティアの顔色が変わる。
悲しくてつらくて、でも嬉しくて恥かしい。
そんな表情。

「ルーク・・・ひとりにしてくれないかしら」
「いやだ。ここにいる」
「・・・こんな顔、見せられないわ」
「じゃあ、後ろ向いてる」
「・・・・・ばか」

ティアをひとりにしたくなかった。
守りたいやつが強がってるのが、ひどくつらいと思う。
だからこそ、一緒にいてやりたかった。
一緒にいたかった。


薬をもらって、ティアの体調は良好な状態を保っている。
それでも、ルークは気が気でなかった。

心配で、心配で
守りたいんだ

その想いが、強く強く、確かなものになっていた。

END

2005年12月執筆
2008年3月修正

まだクリアしていない時に書いた作品。
……短い!この頃の作品は全て短いんです。か、簡潔ということで。
うむむ…昔の作品すぎてコメントが難しい(笑
では、読んでくださった方、ありがとうございました!
2008年3月11日