36 花言葉-桜の日-


36 花言葉
桜の日-ルクティアver-


「花言葉?」
「えぇ、そうよ。花は、それぞれの特質によって象徴的な意味を含ませた言葉を持っているの」

ルークが道端に咲いていた花をなんとなく眺めていたら、ティアがそう教えてくれた。
要するに、花にはそれぞれ何か意味があるということだ、と理解した。

「ティア、花言葉わかるのか?」
「えぇ、少しぐらいなら」

なんとなく興味を持ったルークは、道端の花の花言葉を尋ねてみる。
すると、ティアは快く教えてくれ、そしてスラスラと花それぞれの花言葉を口にした。

「この花の花言葉は「別離」」
「…こっちは?」
「これは、「永遠の愛情」」

不思議だった。
違う種類の花であるというだけで、「別離」や、「永遠の愛情」という、全くかけ離れた意味を持つものだということが。
ルークにとっては、花は「花」でしかなかったのだ。
しかし、次第に花言葉を知ることが楽しくなってきた。

「あ、なぁなぁティア!あの花の花言葉は?」
「…ごめんなさい。知らない花だわ」

ルークが次に指さした花は、一本の大きな木だった。
それは桃色の花弁を枝中に茂らせた、美しい木である。
ティアも見たことがない花。

ルークもティアも、その花の美しさに圧倒された。
妖艶さの中に優しさを湛え、人を魅了する美しさを持つ花。

あれ…この花って…なんか、似てる

「この花の花言葉は何なんでしょうね…」
「……綺麗な女性」
「え?」

ルークは、知らず口にしていた。
それは、自分が感じた花の印象そのもの。

「なんか、そんな感じがする」
「…えぇ、そうね」

そうして、また二人でその花を眺める。
散る花びらは、切なくも見え、なにか一筋の強さも垣間見える。

やっぱり…似てる…ティアに

この花はティアに似ている。

そう確信したら、「綺麗な女性」という言葉はなんともしっくりきた。
ティアにそのことを伝えようかと思ったが、気恥ずかしくてやはり止めた。
心の内にだけ、そっと自分だけの大切な言葉。

いつかは伝えよう…いつか…な

END

花言葉って奥が深いと思います。
調べると楽しいですね。